保育士の国家試験の概要を紹介:過去の出題傾向や合格するためのコツとは?

記事の著者:saitotakuma

厚生労働省の調べによると、2013年時点での保育士数は40万9,000人となっています。そのうち8割を占める30万8,000人が正社員として働いています。

待機児童問題の影響から保育士の需要は高まっており、厚生労働省は2013年度から2018年度末までの5年間で新たに50万人分の保育の受け皿を確保し、待機児童解消を図ることを発表しています。保育士の年収向上のための試作案も公開しており、今後、保育士は職に就きやすく、年収も高くなっていく職業になっていくといえます。

ただし保育士として働くためには、国家資格の免許が必要です。そこで今回は保育士の国家試験の概要について紹介をします。

保育士の資格・試験とは

保育士とは、保育所・児童館・学童保育・児童養護施設などの児童福祉施設で、保護者に代わって子どもの保育をする厚生労働省管轄の子育ての専門家のことをいい、児童福祉法に基づいて保育をします。

保育所は幼稚園・小学校等の学校とは異なり児童福祉施設であるため、先生とは呼ばれるものの本来は福祉の従事者です。両親の就業・保護者の病気・逮捕など、様々な原因によって日中家庭で保育することが難しい子どもたちを、保護者の代わりに養育することが目的であり、対象は0歳から就学前の児童となります。

幼稚園教諭の免許とは違い、指定養成施設として定められた学校で学ばなくても、受験資格を満たして試験に合格すれば資格を得ることができるため、比較的とりやすい資格です。

国家試験の受験資格

保育士国家試験を受けるためには、学部・学科関係なく、大学や短大、2年制以上の専門学校を卒業していることが求められます。

最終学歴が高校卒業・中学卒業の場合は、これらの学校を卒業するか、児童福祉施設における規定時間以上の実務経験があることが条件となります。これらの条件を満たせば、仮に保育士とは関係のない学部・学科出身であっても、保育士の国家試験を受験することが可能になります。

細かい受験資格の条件は以下のとおりです。

大卒あるいは大学を中退された方、または在学中の方

大学を卒業者や在学中の人は、保育関係の学部に関わらず受験資格があります。中退した場合は、2年以上在学しており、62単位以上取得していれば受験が可能。中退の場合も、保育関係の学部に進学していなくても大丈夫です。

短大卒または在学中の方

短期大学を卒業した人、または在学中の人でも、学部に関わらず受験資格があります。基本的な条件は、上記の大卒と同じです。また在学中に資格を取っておくと、就活にも便利でしょう。

専門学校卒の方

学校教育法に基づいた専修学校であることと、2年以上の専門課程であることという2つの条件を満たす卒業生と在学中の方は、受験資格があります。どちらか一方を満たさない場合、高等学校卒業時の年月によって変わりますので、厚生労働省のページで確認してください。

高卒の方および中卒の方

高卒の場合、普通科を卒業された方と、保育科を卒業された方によって異なりますが、対象となる卒業年月範囲内によっては受験資格があります。対象となる卒業年月から外れている場合、児童福祉施設において2年以上かつ2880時間以上、児童の保護に従事した経験が必要です。ただし、高校在学中に保育科のクラスを卒業している場合はそのまま保育士資格を受験することが可能です。

中卒の方は、児童福祉施設において5年以上かつ7200時間以上、児童の保護に従事した経験があれば、受験資格がもらえます。

国家試験の内容とは?

これまで年1回の保育士試験でしたが、保育士を増やすため、2016年度より年2回試験が実施されています。試験内容は、筆記と実技がおこなわれ、それぞれに合格することで保育士資格を取得できます。

厚生労働省のデータによると試験の合格率は、2013年度17.4%、2014年19.3%、2015年度22.8%となっています。

筆記試験

一次試験は筆記試験になり、すべて5択のマークシート形式で出題されます。

試験では、保育原理・教育原理及び社会的養護・児童家庭福祉・社会福祉・保育の心理学・子どもの保健・子どもの食と栄養・保育実習理論の8教科9科目について問われ、2日に渡っておこなわれます。

それぞれの科目で6割以上の点数が取得できると合格とされます。教育原理及び社会的養護については、各科目でどちらも6割以上であれば、教育原理及び社会的養護の科目において合格となります。

なお、一度合格した科目は3年間有効のため、一回の受験ですべて合格を目指すのではなく、数科目ずつを順番に勉強する人もいます。

実技試験

一次試験合格者のみ二次試験を受験できます。二次試験は実技試験となります。

実技試験は以下の分野から自分の得意な分野を2つ選択します。あとからは変更できないので、自分の得意なことを見極めて選択しましょう。

  • 音楽表現(ピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかを選択して課題曲の弾き語り)
  • 造形表現(制限時間内に課題の絵を描く)
  • 言語表現(課題をもとに子供に3分間お話することを想定しながら話す)

2分野、各50点満点で採点され、それぞれ6割以上を得点できていれば合格となります。

音楽、言葉表現においては、事前に課題が発表されますが、毎年変更されます。造形に関しては当日発表になります。

2018年度の音楽の課題曲は『おかあさん』『アイ アイ』で、両方共に弾き歌いでした。

言葉表現では4つの課題(下記参照)から1つ選び、話をすることになります。言葉表現で、絵本や道具を使うのは禁止。そのため、自分で話を理解し、3分間という時間のなかで3歳児の子どもたちに伝わるよう、ストーリー構成を考える必要があります。子どもたちへの言葉がけ、シナリオ、表情、などが採点基準になります。

  • 1「おむすびころりん」(日本の昔話)
  • 2「3びきのこぶた」(イギリスの昔話)
  • 3「3びきやぎのがらがらどん」(ノルウェーの昔話)
  • 4「てぶくろ」(ウクライナ民話)

そして造形表現に関しては過去、「おゆうぎ会の絵」「むかし遊びの絵」などが出題されています。ただし、保育室内で3人の子どもが輪になる様子、お手玉・あやとりをしている様子など、絵を描くのにも条件があります。また作品は色を塗って仕上げますが、色えんぴつで色をつけることが毎年共通です。

実技試験では明確な合格の基準が発表されていませんが、分野ごとに6割以上で合格となります。

保育士資格を取得するためのステップ

それでは、具体的に保育士資格を取得するためのステップを紹介します。

ステップ1:保育士試験を受けるために確認すること

上記でも説明をしたように、国会試験には受験資格があります。

保育士試験の受験資格には年齢制限はなく、個々の最終学歴によりそれぞれ規定が異なります。そのため、自分の最終学歴と規定をきちんと照らし合わせて調べておきましょう。

ステップ2:自分に合う勉強選び

保育士資格を取得するために、勉強方法もいろいろあります。自分に合うもので勉強を進めていきましょう。

  • 独学で勉強する
  • 保育士試験の受験者は毎年多いです。そのため、過去問や問題集などは多く販売されています。市販の参考書や問題集を自分で準備し、自分のペースで勉強をすすめていくのもいいでしょう。テキスト代の1万円程度しか費用がかからないので、コストはかなり抑えることができます。

  • 通信講座を利用する
  • 独学で勉強することは、なかなか根気がいります。自信のない方はユーキャンなどの通信講座を利用しましょう。自分に合う講座を選ぶことが重要になります。費用は半年で5~10万円ほどです。

  • スクールに通う
  • 独学や通信講座以外に、スクールに通うという選択もあります。スクールでは、疑問点があれば直接講師に質問できその場で解決することができます。勉強のすすめ方の計画などもしっかりと立ててもらえます。ちなみに通信講座の中にはスクール付きのものもあります。こちらの費用は学校によってマチマチですが、最大で数十万円ほどかかります。

実技試験は、前もって課題が決まっています。受験申請の際、保育士試験受験の手引きが配布されるので対策を立てましょう。

筆記試験合格から実技試験までの準備期間があるのでしっかりとそなえてください。通信講座やスクールの方は実技に対する対策もありますが、独学の場合はそこに比べて情報が少なくなります。

ステップ3:「保育士証」の発行を各都道府県に申請

保育士資格に合格したら「保育士証」という、保育士の資格を証明する免状が必要になるので申請をおこないます。

段階としては、登録事務処理センターから「保育士登録の手引き」を取り寄せ、手数料の払い込みをしたあと、申請に必要な書類の用意をし申請書類の提出をしたら、保育士証の交付となります。

保育士証が交付されたら職場探しとなります。一般的な職探しの雑誌やサイトの他に、最近では保育士専門の求人サイトがありコンサルタントからアドバイスを受けることができるので適切に利用しましょう。

資格を取得のためにおすすめの通信講座

  • ユーキャン
  • 講実績が30年以上にもなるので、教材は過去問を研究してポイントをしぼったものを独自で用意してくれます。また実技対策もきちんとあり、動画で学ぶことができるので心強いです。

  • ヒューマンアカデミー
  • 最大3年間(無料)の業界最長のサポートを受けることができます。また、試験対策セミナーに無料で参加できたりとサポート体制が手厚いです。

保育士国家試験に合格するコツ

保育士試験の試験範囲は広く、専門的なことが出題されます。初めから全てを理解しようとせず、テキストをさらっと読むことから始めて全体像を理解していきましょう。

徐々に用語を調べたりと、読むごとに専門的な用語にも見慣れてきます。ある程度理解してきたら、問題を解いていきましょう。

試験では○×方式の問題が多いので、そのような問題集を使用するのがおすすめです。より多くの問題を解いていくことで正解率を上げていき、最後の追い込みには一問一答の問題集がおすすめです。

また各科目ごと分けて覚えるのではなく、内容が重複することもあるので関連づけながら記憶していくと、どちらの科目で出題されても解答することができます。合格した科目については、受験した年を含めて3年有効となるので、何年かに分けて勉強していくという人もいます。

実技試験に関しては、とにかく過去の事例を元に練習をおこなうしか方法はありません。ただしいつもとは違った会場で、歌ったり、話たり、絵を描くことは緊張するもの。本番でどれだけ落ち着いて、いつもの自分を表現できるかが重要といえます。

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