潜在保育士は約76万人。低賃金・休暇が取れないことが、就職希望を拒む大きな要因

記事の著者:saitotakuma

潜在保育士とは、保育士資格を持っているにも関わらず、保育士資格を活用しないでいる人のことを指します。厚生労働省の2013年の調査によると、潜在保育士数は76万人。一方、保育士として勤務している人は43万人です。

また現在待機児童は、厚生労働省の2017年の調査では、26,081人。前年と比べると、約2,600人増加しています。慢性的な待機児童問題の解消のため、国は認可保育所の定員を増加させるなどの対策がおこなっています。

しかし保育師として働く人は、なかなか増えず、この問題が解決されるのはまだ先に話になるでしょう。そこで今回は、保育士業界で問題の1つになっている潜在保育士について紹介をしていきます。

潜在保育士が、保育園で働かない理由とは?

厚生労働省の調査では、保育士職への就業を希望しない理由として、「賃金が希望と合わない」(48%)、「休暇が少ない・休暇がとりにくい」(39%)、「休暇が少ない・休暇がとりにくい」(37%)、「子育てとの両立が難しい」(15%)、「将来の展望がみえない」(9%)などがあげられています。

主に働く職場の環境が、主な原因となっています。

ただし、保育士職への就業を希望しない理由が解消した場合、63%の人が保育士を希望しているというデータもあり、環境が変われば、保育士が増える可能性はかなり高くなっているといえるでしょう。

責任ある仕事に関わらず、低賃金である

厚生労働省の調査では、保育士の平均給与は310万円。一方、国税庁が2017年に実施した、「民間給与実態統計調査結果」によると、日本人の平均年収は432万円。保育士の給与は100万円近く、安いことがわかります。

それにも関わらず、子どもの命を預かるという大変責任の重い仕事をしています。過去、屋内プールで溺死事故・うつ伏せによる窒息死・送迎用自動車に取り残されて熱射病で死亡・ジャングルジムに登り、紐を首に絡ませて死亡など、園児の死亡事故は少なくありません。

上記いずれの事件も、保育所側が損害賠償または有罪となっている事件になります。このように子どもから常に目を話すことができない仕事であるにも関わらず、低賃金であることに不満を感じている保育士は多いのです。

休暇がとりにくい

株式会社ウェルクスが2017年におこなった調査で、「今までに有給休暇を取得したことがありますか」という質問では、「ある」と回答した方が全体の86%、「ない」という回答は13%となりました。

そして「取得しやすいと思いますか」という問いでは、「取得しにくいと思う」という回答が58%と約6割を占めています。また有給取得をした理由で最も多かった回答は「体調不良のため」71%となっています。

このように自由に有給を取得できている保育士は少ないことがわかります。

子育てを優先したい

保育園で仕事をする場合の不安要素は、「低賃金」や「家庭との両立」、「自身の体力不足」がよく聞かれる意見ですが、子育てを優先したいという声も多く上がりました。

子どもが大好きで、保育士の勉強をしてきた人がほとんど。自分の子どものことを1番に考えたいという思いが、保育園に働きに出ない要因になるのは、必然的なことなのかもしれません。

潜在保育士の75%は、既に結婚し配偶者がいます。またそのうち69%の人は子育て中、あるいは子育てが一段落した人というデータがあります。また「子どもが未就学」という割合は潜在保育士の方が高く、日中は自分が子どもを育てているという人が大半です。

このような背景もあり、保育士に復帰したくても復帰できない人も、少なくないことがわかります。

保護者との関係が難しい

保護者との関係に疲れるというのも、割と多い理由。本来はそれぞれの家庭でやるべきことなのに「あれやってくれ」「これやってくれ」と、勝手な要望がとても多いのです。

「自分じゃ面倒でできないから、トイレトレーニングは保育園でやってもらって当然」などと、保育士に育児を求める保護者が増えています。それでいて感謝する訳でもなく、ワガママな主張が多く、とにかく保護者への対応が大変。

保育士に復帰するには、それらが高いハードルだと感じてしまうようです。

保育士同士の人間関係も大きく影響

男性保育士が増えてきたとはいえ、保育園はまだまだ女性社会です。保育園の運営にはチームワークが大切なはずなのに、女性特有の妬みがあったり、長く勤めているから偉いという、困った年功序列があったりします。

ちゃんと保育をしたいのに、人間関係で疲れてしまい、保育を楽しいと思えなくなる人も少なくありません。

潜在保育士は、給与が上がれば保育士に復帰するのか?

潜在保育士の復帰を阻む最大の理由である、低賃金。給与が5万円アップしたら、保育士に復帰するか?というアンケート結果を見てみると、約80%が「5万円アップしても復帰したくない」と答えています。

保育士の平均給与は、地域にもよりますが、手取り15万円程度。5万円増えても20万円にしかならないのですから、アンケートの結果には納得です。

給与が10万円アップしたら復帰するか?というアンケートでは、85%が「復帰したい」と答えています。

政府は、保育士を確保するための施策をいろいろ実施している

このような背景に対し、政府も施策を打ち始めています。保育士の給料を2017年4月から引き上げる方針を決めました。しかし、引き上げといっても月額2%とのことで、金額にすると給料15万程の人で約3,000円です。

給料の引き上げは必要なことですが、2%という数字の低さにネットでは不満の声が上がっています。

またほかにも、主任の前段階として「副主任保育士」と「専門リーダー」という職を新設し、月額40,000円の給与アップをすることも発表しています。

大幅に保育士の色が改善されるのは、先の話になるかもしれませんが、国としても改善できるよう動き出していることに間違いはありません。

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