過労死ラインとは?月残業80時間がボーダーラインといわれている。

JobStep編集部
公開, 更新 , 労働問題

過労死ラインとは、厚生労働省が脳や心臓の病を発症するリスクが高まるとしている、時間外労働時間のボーダーラインを示す言葉。厚生労働省の調査によると、就業者の脳血管疾患・心疾患等による死亡数は、平成22年度では3万人といわれています。また就業者の自殺人数は、平成27年で6,782人となっています。

働くうえで、強い悩み・ストレスを感じている労働者の割合もおよそ55%というデータもあります。最近は働き方改革により、有給取得率があっていたり、残業時間が減っていたりと、企業としても労働環境の改善に力を入れているところは多いです。

しかし一方で、実際に過労死で死亡したケースは多くあります。そこで今回は、過労死ラインについて紹介します。

過労死ラインとは?

過労死ラインとは、この時間を超えた残業や時間外労働をすると、脳梗塞や心筋梗塞などの健康障害リスクが高まるとされるボーダーラインを指します。

1ヶ月あたりおよそ80時間を超える時間外労働が、過労死ラインといわれています。ただし80時間を超えていない場合でも、1日13時間以上の労働などでも過労死ラインと認定されることもあります。

この過労死ラインは、労働災害保険の給付を受けられるラインにもなっています。もし在職中に脳卒中や心筋梗塞を引き起こした場合に、過労死ラインを超えていると、病気は仕事による疲労などの影響が大きいとされ、お金の給付を受けられることもあります。

ただし過労死ラインは、明確に線引きされているわけではないため、80時間残業を超えたからといって、100%労災認定されるとは限りません。

しかし1998年に富山医科薬科大学が発表した研究では、1日7時間~10時間働いていた人よりも、1日11時間以上働いていた人は、心筋梗塞の発症リスクが2.9倍という結果があります。そのため、長時間労働が人体に悪影響を及ぼしていることに間違いはないでしょう。

過労死ラインを超えて働かせることは違法である

本来の労働基準法では、1日の労働時間は8時間まで、1週間では40時間以内と定められています。それを超える労働時間は「残業」になります。

また法定労働時間である1日8時間、1週40時間を超えて、労働させる場合は、あらかじめ36協定(サブロク協定)を締結しなくてはいけません。

そしてただし残業にも上限時間が設けられています。36協定では、月に上限勤務時間は45時間まで。繁忙期の場合でも、残業の延長が許されるのは月60時間までです。

もしこの36協定を違反した場合は、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の罰則が企業側に与えられます。

過労死ラインを超えることが続いているなら、訴えることも可能

そのため過労死ラインと言われる残業80時間で勤務をした場合、36協定違反となり、罰則が企業側に与えられることになります。

もし月80時間以上の残業が続くのであれば、労働基準監督署に相談することをおすすめします。違反行為を申告することで、行政が企業に対し、立ち入り調査をしたり、改善命令を出したり、場合によっては経営者を逮捕してくれることもあります。

また長時間労働によって仮に過労死した場合は、企業に対し慰謝料・損害賠償金を請求することができます。労働基準監督署での判断に納得がいかない場合は、地方裁判所で労働基準監督署を相手どった民事裁判をおこなうことになるでしょう。

ただし会社を訴える場合、残業が80時間以上超えていたことを証明する証拠が必要になります。契約書・就業規則・シフト・給与明細・タイムカード・日報などは、証拠になるため、集めておきましょう。

過労死を、労災認定してもらう基準

会社を訴える場合には、労働基準監督署に労災認定してもらうことが、スムーズに慰謝料・損害賠償金を請求するフローになります。もし過労死を労災認定してもらえない場合は、ほぼ確実に民事裁判に発展します。

労災認定認定をもらうには、仕事の業務に起因していることを明らかにする必要があります。たとえば、時間外労働が月に100時間を超えたり、6か月の平均の労働時間が80時間以上になると、病気の発症との関連性は高いとされています。

これを証明するために、タイムカードの勤怠時間を体調の変化と一緒に自分でも記録しておく・追加業務の依頼内容を伝える上司の声を録音しておく・有休消化を拒否されたメールを写真で保存しておく、などの対応をしておくと、労災認定してもらえる可能性は高まるでしょう。

また過労死認定の対象となる疾患は、ある程度定められています。下記のような病気を発症している場合は、労災認定を受けられる可能性は高まります。

  • 脳内出血(脳出血)
  • くも膜下出血
  • 脳梗塞
  • 高血圧性脳症
  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 心停止(心臓性突然死)
  • 解離性大動脈瘤
  • 精神障害による過労自殺

ただし、そのほかの脳・心疾患、精神疾患などでも、労災認定を受けられることもあります。

実際に、過労死してしまった例

過労死の実例は数多くありますが、今回はそのうちの2つを紹介します。事例の中でも、運送業の運転手・教師・看護師・介護士・作業員の過労死した例は多くありました。

トラックの運転手、残業月108時間で労災認定

2017年、運送会社の43歳男性が月108時間残業を行い、過労死した事件がありました。

この男性は、休憩時間が取れなかったり、休日にも電話対応をおこない、周囲にも過労を訴えていましたが、会社を辞めるわけにもいかず、ゴルフ接待中に急性心筋梗塞で死去しました。この事件に対し、八王子労働基準監督署(東京)は労災認定しています。

トラック運転手は、1回の出勤における拘束時間も長く、交通状況によっては時間外労働も増えやすい仕事ではあります。また最近では再配達の連絡を運転手がこまめにおこなう必要があり、このような事件は同業界内でも多数発生しています。

京都市教員、修学旅行中に脳内出血で死亡

当時56歳の下鴨中学校の教師が、1978年箱根の修学旅行中に、脳内出血で死亡しました。このときこの教師は、学習会活動や家庭訪問などで多忙を極め、残業は1日100時間を超えていました。修学旅行前には声が出にくいという体の不調はあったものの引率。生徒指導中に、大きな声を出したことによって脳内出血が発症したとされています。

事件後、遺族は労災認定の申請をしましたが、なかなか認定はされず、裁判に勝利するまで15年かかっています。

この事件は、初めて日本で引き起こった過労死事件であるといわれており、この事件をきっかけに過労死という言葉が国際的に有名になりました。

過労死リスクが高まっているSOSサインの初期症状は?

過労死の対象となる疾患には、精神疾患・脳血管疾患である脳血管疾患(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧症脳症)・虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症、心停止、解離性大動脈溜)などがあげられます。

それでは以下にそれぞれの疾患における初期症状をご紹介します。

精神疾患

精神疾患は、自分で気づかないうちに、進んでいく病気です。会社に行きたくない・体がだるいという症状から、動けなくなるほど重度なものまで、さまざまです。とくにうつ病などは、自分ではなく、周りから言われて気づくこともあります。少しでもおかしいと感じたら病院に行くという行動をしましょう。

体の病気と同じで、心の病気も早期発見ができればそれだけ治療も簡単に短期間で済むケースが多いです。

脳血管疾患

脳血管疾患の病名としては、脳出血・くも膜下出血・脳梗塞・高血圧症脳症です。主な症状としては、以下のものがあります。この症状を感じた場合は病院を受診しましょう。

1.手や顔がうまく動かすことができない、麻痺している

2.ろれつがまわらず上手に話すことができない

3.立ち上がった時に、立ち眩みやめまいやがある

4.疲れたときに目の焦点を合わすことができない

虚血性心疾患

虚血性心疾患の病名としては、心筋梗塞、狭心症、心停止、解離性大動脈溜になります。初期症状としては「ちょっとおかしいかも」がサインになることが多いです。「いつもと違う」「なんかおかしい」という時は早めに病院を受診しましょう。症状としては以下のようなものがあります。

1.動悸や息切れがある

2.脈が速い

3.胸やみぞおちのあたりが痛い、苦しい

4.右の方や左の上腕あたりに痛みがある

労働時間を、自分で減らしていく方法

最近では過労死の問題もあり、会社としても残業をしないようにという意識や、No残業デイなども推進されています。それでも元々残業が多い会社や職業では難しいという声もあります。

労働時間を減らすためには、自分で背負い込まないということが必要です。労働時間が多い人には、自分がやるからと多くの仕事を引き受けているケースがあります。そういう場合は、ある程度仕事を人に任せたり、お願いするということを覚えることも大切です。

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